節句と誕生寺会式―晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2022年03月01日

聞き書 岡山の食事 吉備高原の食より


田んぼには、れんげ、油菜、あぜ道にはたんぽぽ、すみれ、山にはつつじと、家をとりまく景色は美しい。
三月三日は桃の節句である。上巳の節句ともいう。菱もち、赤飯、すし(五目ずし、押し抜き、巻きずし)、煮しめをつくる。前日に、よもぎを入れたよもぎもちと白もちを搗き、のしもちにしておき、菱形に切る。束ねかんぴょう、里芋、ごぼう、にんじん、しいたけ、わらび、ぜんまいの煮しめ、巻きこぶ、ゆで卵を重箱や皿に盛り、床に飾った雛天神に供える。子どもたちは弁当(重箱)を持って、近くの眺めのよい手ごろな遊び場のある山に登り、ずり(山すべり)や花見をして一日中楽しく遊ぶ。

写真:桃の節句の重箱
子どもたちは、めいめいこの弁当を持って山に登り、1日中遊ぶ。

 

出典:鶴藤鹿忠 他編. 日本の食生活全集 33巻『聞き書 岡山の食事』. 農山漁村文化協会, 1985, p.179-181

関連書籍詳細

日本の食生活全集33『聞き書 岡山の食事』

鶴藤鹿忠 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540850462
発行日:1985/12
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 400頁

北の中国山地から南の瀬戸内の島々まで、多様な地形をもつ岡山の食は、あらゆる食素材がそろう日本の食文化の縮図であり、1年のうち60日は晴れ食・行事食という豊かさ。
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