聞き書 愛知の食事 堀川端、清州越商家の食より
■最大の催しもの東照宮祭り(四月十六、十七日)
東照宮さんは、尾張藩の祖である徳川義直の創建によるもので、徳川家康、義直、慶勝がまつられている。
祭りには、神輿が末広町の若宮八幡に渡御する。まず、白衣の仕丁の先達で、七間町以下の九か町から山車が曳き出される。続いて甲胄武者、曽我兄弟、業平の東下り、頼朝の八幡詣で、寿老人、唐子などの行列が並ぶ。最後に神官、神輿が続いて町を練る。若宮に到着すると神事があり、終わると渡御のときとは逆に神輿が先頭に立って本社に還幸する。
十六日の夕食は、ばらずしである。きぼし、れんこん、かんぴょうを細かく切って煮たものをすし飯に混ぜ、上にいか、めじろ(あなご)、錦糸卵を飾る。さやえんどうの細切りやもみのり、紅しょうがなども散らす。吸いものは、はまぐりを二つ入れた潮汁である。
写真:東照宮祭りのごちそう
ばらずし、潮汁、大根漬
出典:星永俊 他編. 日本の食生活全集 23巻『聞き書 愛知の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.51-53