聞き書 山口の食事 長門内陸の食より
朝四時に起き、夜は暗くなるまで翌日の田植えのための苗とりをし、帰宅して夕飯のしたく。この激しい労働のためには一日五回の食事となる。朝九時ごろ小昼間を食べ、夕方五時ごろ「たばこ」を食べる。これらは田のあぜでの食事なので、ぼたもち(おはぎ)、だんご、むすび、きな粉もちなど適宜竹の皮に包み、腰にくくったり、直籠(瀬戸物の三つ重ね)に入れて出かける。田植えの小昼間のうち一回だけは、酒やさかなでごちそうする。
■たばこ(夕方五時ごろ)―きな粉だんご、漬物
たくさん植えてもらうときはぼたもちをふるまう。
写真:たばこに食べるもの
きな粉と小豆あんのぼたもち、酢のもの(大根、にんじん、いりこ)
出典:中山清次 他編. 日本の食生活全集 35巻『聞き書 山口の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.206-207