聞き書 千葉の食事 北総台地の食より
■田植え
六月十五日は、そうり(田植えはじめ)であり、田のくろぎわに一ひろ長さの篠竹をぶっちがいに結んで立てる。それから谷津田の田植えをはじめる。その年の苗の育ちが遅れているときは、三本だけでもこの日に植えるならわしである。田植え盛りには、家の者と手伝いの人がそろっていっせいに苗を植える。
小びるはぼたもちで、一〇時近くなると、家の者が切りだめにぎっしりとぼたもちを詰めて背負いかごに背負い、片手にやかんを下げて田に来る。
昼は混ぜ飯にたけのこにしん、たけのこひじきがきまりである。混ぜ飯の具はにんじん、切りこぶ、かんぴょうを醤油味で煮たものである。たけのこにしんは、身欠きにしんと真竹の甘から煮で、切りだめから分けて大鉢に盛る。ひじきと真竹を煮合わせた、たけのこひじきも同じように盛る。
三時は混ぜ飯のおむすびで、切りだめいっぱいに詰めて運ばれる。
写真:田植えの昼飯
左:たけのこにしん、たけのこひじき/右:混ぜ飯/下:こうこ(ごぼうの醤油漬、大根、きゅうり、なすの味噌漬)、お茶
出典:高橋在久 他編. 日本の食生活全集 12巻『聞き書 千葉の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.235-236