聞き書 富山の食事 五箇山の食より
■こびれ(小昼)―きな粉おにぎりまたはぼたもち、漬物
春は畑づくりで奥山まで出かけたり、養蚕の桑入れ作業をするための桑こき(桑摘み)に、一日がすぎてしまう。
朝早くから出かける場合はおなかが減るので、こびれを持っていくこともある。
こびれはおもにおにぎりである。ごはんに塩を混ぜ、大きめのおにぎりとし、きな粉をつけて桶に入れたり、ほお葉に包んだりする。赤かぶ漬や大根漬を添える。家にいるばあばが準備し、お茶と一緒に子どもたちが畑まで持っていく。
桑畑を耕すには人手がいるので人頼みとなる場合もあり、そんなときはきな粉や小豆をつけたぼたもちを持っていくこともある。こびれを食べるのは忙しいときだけで、毎日ではない。
写真:春の畑づくりのこびれ
きな粉おにぎりと大根漬をほお葉に包んで。
出典:堀田良 他編. 日本の食生活全集 16巻『聞き書 富山の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.76-78