とっとき菜のひたしもの

連載日本の食生活全集

2022年05月23日

聞き書 福井食事 越前海岸の食より


とっとき菜は、越前海岸では春先一番早く、三月中、下旬に生えてくる山菜で、五月ころまである。あまり高くない山の雑木林の日当たりのよい南向きのところに七、八本かたまって生える。しゅんぎくによく似て葉にきざみがあり、緑色が濃くつやがある。三寸くらいのときには下から手で折ってとるが、伸びすぎたら上から三寸くらいのところで折る。やわらかく、ふっとよい香りがする。ゆでてひたしものにする。
干したせん切り大根をさっと洗ったものと、とっとき菜のゆでたものを混ぜたひたしものもなかなかおいしい。

 

出典:小林一男 他編. 日本の食生活全集 18巻『聞き書 福井の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.192-192

関連書籍詳細

日本の食生活全集18『聞き書 福井の食事』

小林一男 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540870187
発行日:1987/6
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

木の芽峠を境に嶺南と嶺北に分かれる福井県は越前と若狭の二国から成る。報恩講を開いては食を共にして絆を深めあう越前、海の幸と山の幸がともに食膳にのぼる若狭の国。
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