聞き書 千葉の食事 九十九里海岸の食より
夏の魚はあじである。地曳網でとれたばかりの生きのよい小あじの頭とはらわたをとり、皮をむいて背びれと腹びれを除き、水洗いして水気を切る。
大おろし(魚を切る出刃包丁)であじを細かくたたき、骨があたらないようになったら、小あじ二五〇匁に対して味噌を大きなさじで三、四杯、しその葉を五、六枚、しょうが一かけ分のみじん切りを入れ、よく混ざるようにたたく。
これを皿に盛り、三分くらいの厚さにのばし、包丁で格子状に筋目を入れておく。好みで、醤油をつけるか、酢をかけて食べる。みょうがをきざんで上からかけると風味が増す。
地曳でとった生きのよいあじは、何にもましておいしく食べられる。
写真:新鮮なあじは、たたきなますに
出典:高橋在久 他編. 日本の食生活全集 12巻『聞き書 千葉の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.43-44