あじのたたきなます

連載日本の食生活全集

2022年05月30日

聞き書 千葉食事 九十九里海岸の食より


夏の魚はあじである。地曳網でとれたばかりの生きのよい小あじの頭とはらわたをとり、皮をむいて背びれと腹びれを除き、水洗いして水気を切る。
大おろし(魚を切る出刃包丁)であじを細かくたたき、骨があたらないようになったら、小あじ二五〇匁に対して味噌を大きなさじで三、四杯、しその葉を五、六枚、しょうが一かけ分のみじん切りを入れ、よく混ざるようにたたく。
これを皿に盛り、三分くらいの厚さにのばし、包丁で格子状に筋目を入れておく。好みで、醤油をつけるか、酢をかけて食べる。みょうがをきざんで上からかけると風味が増す。
地曳でとった生きのよいあじは、何にもましておいしく食べられる。

写真:新鮮なあじは、たたきなますに

 

出典:高橋在久 他編. 日本の食生活全集 12巻『聞き書 千葉の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.43-44

関連書籍詳細

日本の食生活全集12『聞き書 千葉の食事』

高橋在久 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540890024
発行日:1989/6
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

黒潮が打ち寄せる房総半島は日本でも屈指の好漁場。いわし・かつおに代表される海の幸と利根川の魚、台地の作物が食膳にのぼる。太巻ずしはこの地の伝統食。女性が築いた食の営みを記録する。
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