聞き書 富山の食事 富山周辺の食より
しろえび(しらえび)はべっこうえびともいわれ、富山湾の岩瀬の海(常願寺川と神通川の河口の間の海)でしか漁獲されておらず、世界的にも珍しいえびである。長さが二寸くらいまでの白っぽいえびで、生きているときは透明であり、火を通すと乳白色になる。殻ごと食べることができるので、からだによいといわれている。おもに盆のそうめんのだしとして使われるが、そのほかに、夏の来客用のてんぷらや酢のものとしても食べる。
てんぷらは、小麦粉を水で溶いた中に生卵を一つ割りほぐして衣をつくる。その中にしろえびを入れて油で揚げるが、そのとき、はんがい(杓子)の上にえびを四、五ひき並べのせて、そのまますーっと油の中に落とすと、えびは並んで揚げられ、体裁のよいてんぷらができあがる。
酢のものは、まずしろえびを熱湯でゆでる。ひと煮たちしたらすぐそうけにあげて少し冷ます。一方で酢、砂糖、塩の合わせ酢をつくっておき、ゆだったえびを入れて味をしませる。殻ごとやわらかくなるので、そのまま食べる。
出典:堀田良 他編. 日本の食生活全集 16巻『聞き書 富山の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.211-212