待たれるくずひき、豆ごはん、夏野菜の味―日常の食生活

連載日本の食生活全集

2022年06月29日

聞き書 京都食事 京都近郊の食より


いつもは麦飯であるが、えんどうがとれると豆ごはんを炊き、豆腐、焼き麩などのすまし汁をつくる。豆と切りこんぶを炊いたり、豆だけ甘く炊いたりもする。畑にはとうぢしゃも大きくなっているので、揚げ豆腐と炊いたり、ごまあえのおしたしにしたりする。なすび、きゅうりなどの夏野菜を使った、きゅうりのもみうり(ごま酢あえ)、なすびのおしたし(ごまあえ)、じゃがいも、かぼちゃの煮つけなどが多くなる。豆腐を買って冷ややっこで食べることもある。またときには、あじ、かれいなどを焼いたり、たこの酢のものなどをつくる。ごはんの足り苦しいときなどには、そうめんをよく食べる。
なすといえば、京都特有の賀茂なすがある。身がしまっておいしく、夏にはよくでんがく、煮つけなどに使う。

写真:夏の夕食
〔左から〕なすのどぼ漬、麦飯、なすのごまあえ、焼き魚

 

出典:畑明美 他編. 日本の食生活全集 26巻『聞き書 京都の食事』. 農山漁村文化協会, 1985, p.27-28

 

関連書籍詳細

日本の食生活全集26『聞き書 京都の食事』

畑明美 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540850066
発行日:1985/6
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 376頁

「三里四方の旬の野菜」の鮮度がいのちの京野菜は、近郊農家の主婦の振売りによって毎朝町場へ届けられ、その交流を通じて京料理は磨き上げられた。雅びと素朴の京の味。
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