聞き書 佐賀の食事 佐賀平野(クリーク地帯)の食より
■昼―冷やうどん、焼きふなごの煮つけ、いもじ、床漬
夏の暑い盛りはうだるようで、食欲もわかない。田の草取りをして帰って来ると、まずは水でもかぶらないと、からだのほてりもとれない。夏は冷やうどんやそうめんに限る。井戸水で冷やした冷やうどんやそうめんはのどごしもよく、つけ汁をつけて食べる。つけ汁はいりこだしでとることもあるが、焼きふなごの煮つけた汁をとっておき、濃いときはいりこだしで薄めてしょうがやしその葉などをきざんだものを入れて、つけて食べる。
水いも(里芋の一種で茎を食べる)の茎は皮をむいてさっとゆで、冷水にとり、三杯酢につけこんで食べると、さっぱりしていくらでも入る。水いもの酢のものを「いもじ」という。それにきゅうりやなすびなどの床漬(ぬか漬)があると、いっそう食が進む。骨の折れる仕事が続く夏は、とにかく何でも食べられるものを口に入れておかないと、からだがもたない。
写真:夏の昼食
上:なすびの床漬、いもじ/中:焼きふなごの煮つけ/下:つけ汁、冷やうどん
出典:原田角郎 他編. 日本の食生活全集 41巻『聞き書 佐賀の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.29-30