すずきの刺身と炭火焼き

連載日本の食生活全集

2022年08月05日

聞き書 茨城食事 鹿島灘沿岸の食より


すずきは、網でも釣りでもとる。一番うまいのは夏の盛り。しかし、すずきくらいしゅんのこまかい(しゅんのあいだでも味にばらつきがある)魚は、あまりいない。一番うまい時期はごく短くて、秋風が立ちはじめるとどんどんやせていく。
すずきは、刺身にして食べることが多いが、炭火焼きもうまい。ぶつ切りにして焼く。炭火にかけると脂がじぶじぶ燃えて、ぼさぼさっと落ちる。火はまっ赤になる。
脂が炭火に落ちて燃えると、その炎が魚のうまさを閉じこめるから、味がよくなる。多少はこげてもかまわない。

 

出典:桜井武雄 他編. 日本の食生活全集 8巻『聞き書 茨城の食事』. 農山漁村文化協会, 1985, p.257-258

 

関連書籍詳細

日本の食生活全集8『聞き書 茨城の食事』

桜井武雄 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540850387
発行日:1985/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5判上製 348頁

「新豆できたから納豆寝せべ」穀類豊富な県央畑作地帯、水郷ならではの淡水魚を利用した南部水田地帯。水陸の幸を素材に食事づくりを手がけてきた主婦からの聞書きによってまとめた「常世の国」茨城の食事。
田舎の本屋で購入

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