聞き書 岩手の食事 奥羽山系の食より
朝食には、かで飯を大きな黒わんで四、五杯食べる。味噌汁は塩辛く、実は二度いも、玉菜(キャベツ)、きのこ、山菜などを入れ、おかずには大根漬、味噌漬、きのこおろしをつける。
昼食は、朝と同じであったり、味噌汁に実を足して温めたりする。ときには、干し葉がゆとし、煮えているかゆの中に石臼でひいたそば粉をふり入れ、漬物ですますこともある。
夜は、かで飯に、ぼたを小さく切って焼いたのがあれば、家の人は大喜びである。また、どぶろくをつくるこの地域では、よく、そのしぼりかすを利用して、ぼたの頭や大根葉などを入れたかす汁(三平汁)をつくる。
秋のはぎ刈りの日の昼食の献立例は、写真のとおりである。
写真:はぎ刈りのときの昼食
膳内上:(左から)なすの油味噌、くじら汁/膳内中:(左から)きゅうりの酢のもの、すぐり大根の味噌からめ/膳内下:(左から)だいこんかで飯、大根葉と豆腐の味噌汁/膳外:(左から)なすの漬物、きゅうりの漬物
出典:古沢典夫 他編. 日本の食生活全集 3巻『聞き書 岩手の食事』. 農山漁村文化協会, 1984, p.290-290