聞き書 大分の食事 日田盆地の食より
■晩飯―麦飯、いもとれんこんの煮しめ、けんちゃん汁、あゆのうるか
秋はさばに脂がのっておいしい。豆田の魚屋でときどき買い、煮つけにしたり、大根と一緒にぬたえをつくったりする。さばを煮たときは、その汁でいもやれんこんを煮る。
少し肌寒い夜は、けんちゃん汁をつくる。ごぼう、にんじん、れんこん、いも、揚げ豆腐(厚揚げ)などを菜種油で炒め、水を入れて煮こみ、醤油と塩で味をつける。
十二月ころまでは、大川ではまだあゆが釣れる。たくさん手に入ったときは、うるか(塩辛)をつくっておく。二〇日くらいでよくなれておいしくなる。稲刈りあとの晩酌のさかなにもってこいである。
写真:秋の晩飯
上:あゆのうるか、いもとれんこんの煮しめ/下:麦飯、けんちゃん汁
出典:波多野道義 他編. 日本の食生活全集 44巻『聞き書 大分の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.204-206