聞き書 新潟の食事 蒲原の食より
塩俵から出したさけを、薄くそぎ切りにする。中くらいの桶かどんぶりに笹の葉を敷いて、さけの切り身を並べる。切り身の上に固めの甘酒を一さじずつのせる。またその上に、前もって塩をふってぱらぱらにしたゆうのこ(さけの卵)を二、三粒ずつのせる。再び笹の葉を敷き、さけ、甘酒、ゆうのことくり返し重ねる。最後に笹の葉をのせて、軽い重石をしておく。塩のきつさが甘酒でゆるめられて、味がちょうどよくなってくる。高級なさかなとして喜ばれる。
ゆずやしょうがをきざんで上にのせると、風味も増しておいしい。これは早めに食べてしまうもので、少量しかつくらず、保存用にはしない。
出典:本間伸夫 他編. 日本の食生活全集 15巻『聞き書 新潟の食事』. 農山漁村文化協会, 1985, p.56-57