さけの飯ずし

連載日本の食生活全集

2022年11月11日

聞き書 新潟の食事 蒲原の食より


塩俵から出したさけを、薄くそぎ切りにする。中くらいの桶かどんぶりに笹の葉を敷いて、さけの切り身を並べる。切り身の上に固めの甘酒を一さじずつのせる。またその上に、前もって塩をふってぱらぱらにしたゆうのこ(さけの卵)を二、三粒ずつのせる。再び笹の葉を敷き、さけ、甘酒、ゆうのことくり返し重ねる。最後に笹の葉をのせて、軽い重石をしておく。塩のきつさが甘酒でゆるめられて、味がちょうどよくなってくる。高級なさかなとして喜ばれる。
ゆずやしょうがをきざんで上にのせると、風味も増しておいしい。これは早めに食べてしまうもので、少量しかつくらず、保存用にはしない。

 

出典:本間伸夫 他編. 日本の食生活全集 15巻『聞き書 新潟の食事』. 農山漁村文化協会, 1985, p.56-57

関連書籍詳細

日本の食生活全集15『聞き書 新潟の食事』

本間伸夫 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540850257
発行日:1985/8
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5判上製 378頁

「炊く」「蒸す」「搗く」「こねる」「焼く」。お米をさまざまに味わい分けてきた新潟県内を六つの食文化圏に分けて、それぞれの地域の豊饒を語ってもらう。
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