聞き書 滋賀の食事 近江商人(本宅)の食より
■晩ごはん――大根飯、あじの干もの、かぶら蒸し、お茶
冬は大根が豊富に収穫でき、ごはん類にも利用する。大根飯のつくり方は『姑の餞別』に書かれてあるように、米一升に対し切り大根二升を入れ、塩で味をつける。決しておいしいとはいえないが、冬の味である。
晩ごはんには、魚の干ものをよく食べる。塚本家のある南五個荘村の川並集落のなかに海産物を行商する「かざえもんさん」という人がいて、その人から購入している。塚本家では、あじの干ものかにしんの干ものを買う。あじの干ものは上等である。
底冷えのする寒い冬の夜には、かぶら蒸しをつくる。白焼きの魚の切身やうなぎのかば焼き、ゆり根などが入り、上等の一品である。
写真:冬の晩ごはん
上:あじの干もの、お茶/下:大根飯、かぶら蒸し
出典:橋本鉄男 他編. 日本の食生活全集 25巻『聞き書 滋賀の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.119-121