からだの温まるとろろ汁やかぶら蒸し――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2023年03月02日

聞き書 滋賀の食事 近江商人(本宅)の食より

晩ごはん――大根飯、あじの干もの、かぶら蒸し、お茶
冬は大根が豊富に収穫でき、ごはん類にも利用する。大根飯のつくり方は『姑の餞別』に書かれてあるように、米一升に対し切り大根二升を入れ、塩で味をつける。決しておいしいとはいえないが、冬の味である。
晩ごはんには、魚の干ものをよく食べる。塚本家のある南五個荘村の川並集落のなかに海産物を行商する「かざえもんさん」という人がいて、その人から購入している。塚本家では、あじの干ものかにしんの干ものを買う。あじの干ものは上等である。
底冷えのする寒い冬の夜には、かぶら蒸しをつくる。白焼きの魚の切身やうなぎのかば焼き、ゆり根などが入り、上等の一品である。

写真:冬の晩ごはん
上:あじの干もの、お茶/下:大根飯、かぶら蒸し

 

出典:橋本鉄男 他編. 日本の食生活全集 25巻『聞き書 滋賀の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.119-121

関連書籍詳細

日本の食生活全集25『聞き書 滋賀の食事』

橋本鉄男 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540910012
発行日:1991/6
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

日本最大の湖・琵琶湖には鯉・鮒・もろこなど淡水魚があふれる。ふなずしをはじめ、滋賀県特有の湖魚の食べ方をもらさず紹介。また、近江商人発祥の地に残る本宅(店に対する自宅)の食生活など話題がいっぱい。
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