緑なす裏山は山菜の宝庫――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2023年04月19日

聞き書  奈良の食事 奥宇陀の食より

山弁当――麦はん、炊いたにしん、みそのこ、こうこ
炭焼きは、本格的に窯を休めるのは五月と秋だけである。春や夏は炭焼きのほか山の下草刈りなどもあり、女も草刈りや炭を負いねだすのに弁当を持って山へ行く。「山田のめんぱ」のふたと身にぎっしり詰めた麦はんには、みそのこの味噌の味がしみこんでいる。力をつけるため、干しにしんを甘からく炊いたもんもおかずに持っていく。きつい山仕事には、塩気の多いものが好まれる。

写真:春の山弁当
伊勢の山田で買っためんぱに麦はんを詰めて、みそこやこうこ、炊いたにしんをのせる。

 

出典:藤本幸平 他編. 日本の食生活全集 29巻『聞き書 奈良の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.178-179

関連書籍詳細

日本の食生活全集29『聞き書 奈良の食事』

藤本幸平 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540920035
発行日:1992/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 376頁


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