聞き書 奈良の食事 大和高原の食より
■昼――えんどう飯、干だらの焼き酢、なすのでんがく、きゅうりもみ
夏の野菜は種類が豊富で、食卓はいちだんとにぎやかになる。家では碓井えんどうは、出荷できないくずを使って、えんどう飯をつくったり、甘藍(キャベツ)と一緒に甘からく煮つけておかずとして食べる。
八月になるとなすがとれる。焼きなすをごま醤油をつけて食べたり、かぼちゃと一緒に炊き合わせたり、でんがくにしたり、味噌汁の実に入れたりする。出荷できないくずきゅうりは酢のものにする。このほか青とう(青とうがらし)の油炒めや味噌煮なども食卓に並ぶ。
汗の流れる夏場の厳しい作業に欠かせないのが干だらである。あぶり焼いた干だらをほぐし、酒で割った酢をひたひたにかけた干だらの焼き酢はよくつくる。暑い盛りに食べると食が進んで元気が出る。
写真:夏の昼飯
上:お茶、干だらの焼き酢/中:きゅうりもみ/下:えんどう飯、なすのでんがく
出典:藤本幸平 他編. 日本の食生活全集 29巻『聞き書 奈良の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.136-137