干だらや田んぼのどじょうで暑気払い――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2023年08月08日

聞き書 奈良の食事 大和高原の食より

昼――えんどう飯、干だらの焼き酢、なすのでんがく、きゅうりもみ
夏の野菜は種類が豊富で、食卓はいちだんとにぎやかになる。家では碓井えんどうは、出荷できないくずを使って、えんどう飯をつくったり、甘藍(キャベツ)と一緒に甘からく煮つけておかずとして食べる。
八月になるとなすがとれる。焼きなすをごま醤油をつけて食べたり、かぼちゃと一緒に炊き合わせたり、でんがくにしたり、味噌汁の実に入れたりする。出荷できないくずきゅうりは酢のものにする。このほか青とう(青とうがらし)の油炒めや味噌煮なども食卓に並ぶ。
汗の流れる夏場の厳しい作業に欠かせないのが干だらである。あぶり焼いた干だらをほぐし、酒で割った酢をひたひたにかけた干だらの焼き酢はよくつくる。暑い盛りに食べると食が進んで元気が出る。

写真:夏の昼飯
上:お茶、干だらの焼き酢/中:きゅうりもみ/下:えんどう飯、なすのでんがく

 

出典:藤本幸平 他編. 日本の食生活全集 29巻『聞き書 奈良の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.136-137

関連書籍詳細

日本の食生活全集29『聞き書 奈良の食事』

藤本幸平 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540920035
発行日:1992/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 376頁

青丹よしといわれた奈良の都、法隆寺を仰ぐ斑鳩の里から山深い吉野・十津川郷まで、その歴史・民俗・食べ物を古老からの聞き書きと写真で記録。東大寺の結解(けっけ)料理など、各地の寺社料理も紹介。
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