夏――実りの秋につながる炎天の日々

連載日本の食生活全集

2023年08月04日

聞き書 宮崎の食事 高千穂の食より

田植えが終わると、涼しい高千穂地方でも昼間は暑くなる。暑さのなか、豆、とうきび(とうもろこし)を播き、からいも、里芋畑の手入れが忙しくなる。換金作物の麻やたばこの手入れも忙しい。田の草取りは、一番、二番、三番草とつぎつぎに追いかけてくる。
日が長くなると朝早くから仕事をし、昼間は二時間くらい休み、夕方は日の入るまで働く。夏の仕事のがまだし(がんばり)が秋作のできぐあいにつながるからである。盆まではがむしゃらに働き、盆にはご先祖さまとゆっくりすごす。

写真:夏の夕飯
上:野菜のてんぷら、きゅうりの酢あえ/下:麦飯、醤油汁

 

出典:田中熊雄 他. 日本の食生活全集 45巻『聞き書 宮崎の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.23-24

関連書籍詳細

日本の食生活全集45『聞き書 宮崎の食事』

田中熊雄 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540901010
発行日:1991/3
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

伝説に彩られた山深き里、古来「日向の国」と呼ばれた太陽の国・宮崎。焼き畑の村に、陽光そそぐ平野に、霧島のぞむシラスの台地に、黒磯洗う浜に、なつかしい食と暮らしをたずねた南国の食の記録。
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