夏のごはんは、干しかんしょのいも飯か麦飯――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2023年07月14日

聞き書 宮崎の食事 日南の食より

夏になると、生のからいもがなくなるので、干しかんしょ(干したからいも)の粉に塩味をつけて丸めてだごにし、ごはんが吹いてきたとき、上にのせて蒸す。干しかんしょのいも飯である。
しかし、干しかんしょの粉には限りがあるので、夏はたいてい麦飯。麦飯も夜に一度に炊いて、麦の一番多いところを夜に食べ、次の日の朝、昼、弁当用とおのおの三つのおひつにきっちり詰めておく。船の弁当用は、ほとんど米ばかりのところを詰める。こうして詰めた飯は、涼しいところへおかもちかご(ふたつきのかご。柄のついたものもある)に入れてつるしておく。
昼――麦飯、ぬか漬、豆腐の醤油かけ
豆腐を売る店は一つの集落に一軒あり、子どもにおかもちかごを持たせて買いにやる。豆腐には、ほぐした火干かしか生節をのせ、醤油をかけて食べる。磯でとった小みななどの貝は塩ゆがきにする。また、あじのはねもんを開きにして干し、これを焼く。
あまりの暑さに飯のいたみそうなときや、飯の少ないときは、かぼちゃずし(かぼちゃ入りぞうすい)、大根ずし(大根入りぞうすい)をつくる。夏の大根ずしには、てんのぶ(丸干し大根)を薄く切ってお湯でもんで入れる。

写真:夏の昼飯
麦飯、豆腐の醤油かけ(生節をのせて)、きゅうりとなすびのぬか漬

 

出典:田中熊雄 他. 日本の食生活全集 45巻『聞き書 宮崎の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.285-286

関連書籍詳細

日本の食生活全集45『聞き書 宮崎の食事』

田中熊雄 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540901010
発行日:1991/3
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

伝説に彩られた山深き里、古来「日向の国」と呼ばれた太陽の国・宮崎。焼き畑の村に、陽光そそぐ平野に、霧島のぞむシラスの台地に、黒磯洗う浜に、なつかしい食と暮らしをたずねた南国の食の記録。
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