かぼちゃ汁は姑ばあさんの節米の知恵――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2023年07月31日

聞き書 奈良の食事 十津川郷の食より

昼飯――麦飯、かぼちゃ汁、ちしゃ菜の酢味噌、うりやなすびの漬物
田畑では、真夏の日ざしとせみの鳴き声だけが頭上から降り注ぐ。二番草取りともなれば稲の丈も伸びて、かがんだ顔や首をはしかい(ちくちくする)稲がつつき、流れ落ちる汗と一緒になって目にしみる。「ねえよお、飯じゃぜー(ごはんだよ)」と、はるか上の庭先から呼ばれて腰をのばすと、昼どきである。
姑ばあさんが米の節約を考えてつくったかぼちゃ汁は、汁の中の小麦粉だんごにかぼちゃの甘みが移って食べよい。さつまいもがとれるまでかぼちゃを食べることが多い。
また熱い麦飯にちしゃ菜の酢味噌を添えると、疲れていても食べよいもんである。

写真:夏の昼飯
上:ちしゃ菜の酢味噌、うりとなすびの塩漬/下:麦飯、かぼちゃ汁

 

出典:藤本幸平 他編. 日本の食生活全集 29巻『聞き書 奈良の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.264-266

関連書籍詳細

日本の食生活全集29『聞き書 奈良の食事』

藤本幸平 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540920035
発行日:1992/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 376頁

青丹よしといわれた奈良の都、法隆寺を仰ぐ斑鳩の里から山深い吉野・十津川郷まで、その歴史・民俗・食べ物を古老からの聞き書きと写真で記録。東大寺の結解(けっけ)料理など、各地の寺社料理も紹介。
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