江川の魚貝で夏負けを防ぐ――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2023年07月25日

聞き書 島根の食事 江の川流域の食より

夕はん――麦飯、にらの味噌汁、あゆの塩まき、漬物
夏になると、江川では川魚がよくとれるようになる。夏休みに入った子どもたちが、夕はんのおさいの川魚とりを引き受ける。夕方、うなぎかごとか、みみずをつけた針を川底に仕かけ、翌朝、薄暗いうちに引き上げにいく。獲物は、うなぎ、ぎぎ、ごっぽう(どんこ)など。煮たり焼いたりして食べる。
小川では、しじみやにら(川にな)がとれる。どちらも夏負けを防ぐといって、味噌汁にして食べる。
あゆは大人たちがとる。塩をふって竹串にさして焼く。これを、このあたりでは「あゆの塩まき」という。

写真:夏の夕はん
菜台:〔上左から〕しその実の味噌煮、らっきょう漬/〔下〕地かぶの切り漬、きゅうりの塩漬となすびの塩漬とこうこ/箱膳/麦飯、あゆの塩まき、にらの味噌汁

 

出典:島田成矩 他編. 日本の食生活全集 32巻『聞き書 島根の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.158-160

関連書籍詳細

日本の食生活全集32『聞き書 島根の食事』

島田成矩 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540910029
発行日:1991/7
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

旧暦十月の神無月も出雲では「神有月」。全国から集まる神々をもてなす心が食生活の中にいまも息づく。汽水湖・宍道湖・中海の豊かな魚介、米どころ出雲平野、豪雪の山間、隠岐まで郷土の食を網羅。
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