暑さに負けない食事のくふう――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2023年08月21日

聞き書 新潟の食事 古志の食より


夕食どきになると、一足先に家にもどった主婦は、せいふろ(据え風呂)の火をくべ、明日に疲れを残さないようにと献立を考えながら、したくにかかる。
汁気なしでは食が進まないので、なす、ゆうごう、かぼちゃ、じゃがいもなどを大きく切り、油をまぶして汁の多いべた煮をつくる。たまにはこってりしたくじら汁のこともある。くじら汁には、くじらの脂身となすを入れる。おなかいっぱい食べて、暑さ負けなどしないようにと気づかうのである。熱いべた煮と冷たいきゅうりもみ、さっぱりした赤いずいきの酢のものなどが、食欲をそそる。

写真:夏の夕食
上:なすの油炒め、酢ずいき/下:白飯、くじら汁

 

出典:本間伸夫 他編. 日本の食生活全集 15巻『聞き書 新潟の食事』. 農山漁村文化協会, 1985, p.142-144

関連書籍詳細

日本の食生活全集15『聞き書 新潟の食事』

本間伸夫 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540850257
発行日:1985/8
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 378頁

「炊く」「蒸す」「搗く」「こねる」「焼く」。お米をさまざまに味わい分けてきた新潟県内を六つの食文化圏に分けて、それぞれの地域の豊饒を語ってもらう。
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