聞き書 新潟の食事 古志の食より
■夕
夕食どきになると、一足先に家にもどった主婦は、せいふろ(据え風呂)の火をくべ、明日に疲れを残さないようにと献立を考えながら、したくにかかる。
汁気なしでは食が進まないので、なす、ゆうごう、かぼちゃ、じゃがいもなどを大きく切り、油をまぶして汁の多いべた煮をつくる。たまにはこってりしたくじら汁のこともある。くじら汁には、くじらの脂身となすを入れる。おなかいっぱい食べて、暑さ負けなどしないようにと気づかうのである。熱いべた煮と冷たいきゅうりもみ、さっぱりした赤いずいきの酢のものなどが、食欲をそそる。
写真:夏の夕食
上:なすの油炒め、酢ずいき/下:白飯、くじら汁
出典:本間伸夫 他編. 日本の食生活全集 15巻『聞き書 新潟の食事』. 農山漁村文化協会, 1985, p.142-144