聞き書 愛媛の食事 宇和海(西海)・宇和島の食より
■晩――めひかり、そうめん、らっきょ
つめ飯やつめがゆが続くと、子どもたちはおばくやそうめんが待ち遠しい。「今晩はなに?」と親に聞くのは、おかずではなく主食のことである。親は「食べることをいうのは行儀が悪い」とたしなめながらも、喜ぶものをつくって食べさせたいと思う。
そんなときには、いもの粉をこねて、からいもや黒砂糖を入れて蒸しためひかりや、そうめんにする。そうめんはさっとゆがいて、青しそやねぎの薬味で食べる。だし汁はいわしのいりこでつくり、谷川で冷やす。
らっきょ(らっきょう)は畑のすみなどに植えて六月掘り出し、二、三日塩漬けしてから甘酢に漬けたものである。
写真:夏の夕食
〔上から時計回りに〕めひかり、そうめん、だし汁とそうめんに薬味のねぎを添えたもの、らっきょ漬
出典:森正史 他編. 日本の食生活全集 38巻『聞き書 愛媛の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.24-25