焼きすり身で力をつけ、そうめんでさっぱりと――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2023年08月22日

聞き書 愛媛食事 宇和海(西海)・宇和島の食より

晩――めひかり、そうめん、らっきょ
つめ飯やつめがゆが続くと、子どもたちはおばくやそうめんが待ち遠しい。「今晩はなに?」と親に聞くのは、おかずではなく主食のことである。親は「食べることをいうのは行儀が悪い」とたしなめながらも、喜ぶものをつくって食べさせたいと思う。
そんなときには、いもの粉をこねて、からいもや黒砂糖を入れて蒸しためひかりや、そうめんにする。そうめんはさっとゆがいて、青しそやねぎの薬味で食べる。だし汁はいわしのいりこでつくり、谷川で冷やす。
らっきょ(らっきょう)は畑のすみなどに植えて六月掘り出し、二、三日塩漬けしてから甘酢に漬けたものである。

写真:夏の夕食
〔上から時計回りに〕めひかり、そうめん、だし汁とそうめんに薬味のねぎを添えたもの、らっきょ漬

 

出典:森正史 他編. 日本の食生活全集 38巻『聞き書 愛媛の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.24-25

関連書籍詳細

日本の食生活全集38『聞き書 愛媛の食事』

森正史 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540880452
発行日:1988/12
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

魚あふれる瀬戸内、宇和の海。春はいだが川面をさかだて夏はあゆが水底に踊る肱川。五穀ゆたかな山間の田畑。海、山、川、平野の四季の移ろいと暮らし、食をつぶさに描く。
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