梅干しやそうめんで暑さをしのぐ──日常の食生活

連載日本の食生活全集

2023年08月29日

聞き書 佐賀食事 脊振山地の食より

夏の暑い盛りになると田んぼの稲もしっかり根づき、緑の色もいちだんときれいになる。そよそよと吹く風は疲れたからだをいやしてくれる。そのころ、田んぼの井手や水口にはどじょうが顔を出す。夏は暑さに負けないように、川魚や薬草の飲みものなどを多くとる。
晩飯――茶がゆ、どじょう汁、きゅうりの塩漬
近くの小川でどじょうをとり、ごんぼや大根を入れて、よくどじょう汁をつくる。
山や家のまわりのげんのしょうこ、どくだみ、せんふり(せんぶり)などをとってきて日陰干しにし、それを煎じて飲んだり、あせもなどの薬にする。

写真:夏の晩飯
茶がゆ、どじょう汁、きゅうりの塩漬

 

出典:原田角郎 他編. 日本の食生活全集 41巻『聞き書 佐賀の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.112-113

関連書籍詳細

日本の食生活全集41『聞き書 佐賀の食事』

原田角郎 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540910043
発行日:1991/11
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

稲作と茶と磁器発祥の地佐賀は、クリーク農業の地。佐賀平野の米とクリークの魚が食の基本。玄界灘と有明海という二つの海からは対馬暖流と干潟の恵みが四季の食膳をにぎわす。
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