何日も続くおとりこしで親鸞さまのご恩に感謝――晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2023年11月10日

聞き書 滋賀食事 琵琶湖沖島の食より

おとりこし
秋の報恩講のことである。十一月、菊の花が咲くころ、お互いに各家の仏壇におまいりする。島の約半数が親せきとなるので、二つの寺に分かれて、ほぼ一か月くらいかけて毎日のように各家の仏壇におまいりし、親鸞さまのお徳をしのび、仏さまのご恩に感謝する。
これは年寄りの楽しみで、夕食の後であるため、お茶の子としてかぼちゃがないと、おとりこしがすまないようにいわれる。かぼちゃの煮もの、そらまめの煮もの、うずらまめの煮もの、こいもと油揚げ入りの大根炊き、塩押しなすびの煮ものなど三品ほど出し、食べながら話に花が咲くという毎日である。

写真:おとりこしのお茶の子
上:塩押しなすびの煮もの、うずらまめの煮もの/下:かぼちゃの煮もの、大根炊き(こいも、油揚げ入り)

 

出典:橋本鉄男 他編. 日本の食生活全集 25巻『聞き書 滋賀の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.36-38

関連書籍詳細

日本の食生活全集25『聞き書 滋賀の食事』

橋本鉄男 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540910012
発行日:1991/6
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

日本最大の湖・琵琶湖には鯉・鮒・もろこなど淡水魚があふれる。ふなずしをはじめ、滋賀県特有の湖魚の食べ方をもらさず紹介。また、近江商人発祥の地に残る本宅(店に対する自宅)の食生活など話題がいっぱい。
田舎の本屋で購入

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