田仕事の腹ごしらえはふきもちを焼いて――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2024年01月15日

聞き書 島根食事 出雲平野の食より

朝飯――だんご煮、菜台の上の漬物など
どこでも申し合わせたように、寒いときは朝はだんご煮かだんご汁、夏になるとくず米粉だんごのお焼きに味噌汁ですます。だんご煮は、夜なべでひいたくず米の粉を水でこねて丸め、いりこ(煮干し)だしの野菜汁の中に入れて煮て、醤油か味噌で味をつける。これで足りない者は、さらに麦飯一杯を追加する。
朝、昼、晩とも、めいめい箱膳で食事をするが、漬物やつくりおきのお菜(おかず)は家族共用の菜台に鉢に盛って出す。冬の菜台には、たくあん、とくな漬(高菜漬)、赤紫色の津田かぶのぬか漬などの漬物類のほか、しょいのみ(なめ味噌)、煮豆などが並ぶ。

写真:冬の菜台
上:黒豆の煮豆、しょいのみ/下:とくな漬の古漬の油炒め、津田かぶ漬、たくあん

 

出典:島田成矩 他編. 日本の食生活全集 32巻『聞き書 島根の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.63-64

関連書籍詳細

日本の食生活全集32『聞き書 島根の食事』

島田成矩 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540910029
発行日:1991/7
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

旧暦十月の神無月も出雲では「神有月」。全国から集まる神々をもてなす心が食生活の中にいまも息づく。汽水湖・宍道湖・中海の豊かな魚介、米どころ出雲平野、豪雪の山間、隠岐まで郷土の食を網羅。
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