冷やかときゃ、ぬっかとがごちそう──日常の食生活

連載日本の食生活全集

2024年01月22日

聞き書 佐賀食事 多良山麓の食より

炭焼き弁当――おにぎり、塩さばの頭、おくもじ、大根漬
おにぎりと塩さばの頭は焚き火で焼く。頭を持って来るのは、魚船(塩魚を入れておくふたつきの楕円形の浅い桶)の中に頭がごろごろ残っているからである。おくもじと大根漬は洗ったままで切らずに持って来るので、かん切って(かみ切って)食べる。
ときどき、いもや川につけてある正月もちなども持って来て、焚き火にあたりながら焼いて食べる。近くにやまいもがあったら掘りとり、大きなものは持って帰るが、小さなものはすぐ焼いて食べる。
一日の仕事が終わると、かりゃてごを背負って帰る。行きも帰りも素手、素ごちゃ(何も背負わない)というようなことはない。

写真:炭焼き弁当
上:おくもじ、大根漬、塩さばの頭/下:いもねったくい飯のおにぎり

 

出典:原田角郎 他編. 日本の食生活全集 41巻『聞き書 佐賀の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.265-266

関連書籍詳細

日本の食生活全集41『聞き書 佐賀の食事』

原田角郎 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540910043
発行日:1991/11
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

稲作と茶と磁器発祥の地佐賀は、クリーク農業の地。佐賀平野の米とクリークの魚が食の基本。玄界灘と有明海という二つの海からは対馬暖流と干潟の恵みが四季の食膳をにぎわす。
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