聞き書 佐賀の食事 多良山麓の食より
■炭焼き弁当――おにぎり、塩さばの頭、おくもじ、大根漬
おにぎりと塩さばの頭は焚き火で焼く。頭を持って来るのは、魚船(塩魚を入れておくふたつきの楕円形の浅い桶)の中に頭がごろごろ残っているからである。おくもじと大根漬は洗ったままで切らずに持って来るので、かん切って(かみ切って)食べる。
ときどき、いもや川につけてある正月もちなども持って来て、焚き火にあたりながら焼いて食べる。近くにやまいもがあったら掘りとり、大きなものは持って帰るが、小さなものはすぐ焼いて食べる。
一日の仕事が終わると、かりゃてごを背負って帰る。行きも帰りも素手、素ごちゃ(何も背負わない)というようなことはない。
写真:炭焼き弁当
上:おくもじ、大根漬、塩さばの頭/下:いもねったくい飯のおにぎり
出典:原田角郎 他編. 日本の食生活全集 41巻『聞き書 佐賀の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.265-266