秋野菜を中心にしたふんだんな食事――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2024年09月17日

聞き書 新潟食事 古志の食より


秋の彼岸ころから稲刈りも忙しくなる。それまでに、春先に山に積んでおいたぼえ木や割木を家に運び、風で折れた杉の枝も片づけ、はぜ(はざ)場の用意もする。
こなしものが終わるまで新米は食べられないので、かぼちゃやさつまいもがとれると、かぼちゃがゆ、さつまいもまんまをつくる。秋仕事は難儀するので、いつでも腹いっぱい食べられるように、たくさん用意しておく。おかずとしては、とれたての大根、里芋、秋なすなど、何もかも大なべに切りこんで、煮ものか汁かわからないくらい実だくさんのものをつくる。
稲刈りの忙しいなかでも、さやの黄ばんでくる小豆や大豆もとりこみ、軒下につるして乾燥させねばならない。雪の早いこの土地では、まごまごしていると雪が降ってからの豆落としになってしまうので、毎年、とれ秋は目の回るような忙しさである。そのなかで、主婦は冬越しの準備にとりかかる。

写真:秋の夕食
上:えぐさあえ(うど、みょうが)、煮豆/下:かぼちゃがゆ、なんばん味噌

 

出典: 本間伸夫 他編. 日本の食生活全集 15巻『聞き書 新潟の食事』. 農山漁村文化協会, 1985, p.145-146

関連書籍詳細

日本の食生活全集15『聞き書 新潟の食事』

本間伸夫 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN: 9784540850257
発行日: 1985/8
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 378頁

「炊く」「蒸す」「搗く」「こねる」「焼く」。お米をさまざまに味わい分けてきた新潟県内を六つの食文化圏に分けて、それぞれの地域の豊饒を語ってもらう。
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