聞き書 新潟の食事 古志の食より
秋の彼岸ころから稲刈りも忙しくなる。それまでに、春先に山に積んでおいたぼえ木や割木を家に運び、風で折れた杉の枝も片づけ、はぜ(はざ)場の用意もする。
こなしものが終わるまで新米は食べられないので、かぼちゃやさつまいもがとれると、かぼちゃがゆ、さつまいもまんまをつくる。秋仕事は難儀するので、いつでも腹いっぱい食べられるように、たくさん用意しておく。おかずとしては、とれたての大根、里芋、秋なすなど、何もかも大なべに切りこんで、煮ものか汁かわからないくらい実だくさんのものをつくる。
稲刈りの忙しいなかでも、さやの黄ばんでくる小豆や大豆もとりこみ、軒下につるして乾燥させねばならない。雪の早いこの土地では、まごまごしていると雪が降ってからの豆落としになってしまうので、毎年、とれ秋は目の回るような忙しさである。そのなかで、主婦は冬越しの準備にとりかかる。
写真:秋の夕食
上:えぐさあえ(うど、みょうが)、煮豆/下:かぼちゃがゆ、なんばん味噌
出典: 本間伸夫 他編. 日本の食生活全集 15巻『聞き書 新潟の食事』. 農山漁村文化協会, 1985, p.145-146