たけのこはちしゃとあいくち――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2024年04月19日

聞き書 奈良食事 葛城山麓(竹内)の食より

昼――ごはん、かますごの三杯酢、ちしゃのはりはり、わかめとねぎの味噌汁、古漬の水出し
秋に種を播いたちしゃが青々としてくると、葉をかいて、おひたし(ごま醤油あえ)やおあえ(ごま味噌あえ)にして食べる。ちしゃとたけのこはあいくち(相性がよい)で、ちしゃとたけのこのおあえのほか、たけのこの木の芽あえにもちしゃは欠かせない。丸干し大根の薄切りを入れたちしゃのはりはりもつくる。青菜はざるに山ほどあっても、ゆがくとどんぶり一杯ほどにしかならないので、「青菜は男に見せるな」という。
魚屋さんがかますご(いかなご)を売りに来ると、たまに買っておかずにする。ゆでてあるので細いかますごはそのまま食べられるが、太いものは焼いてから三杯酢をかけて食べる。三杯酢をかけると骨までやわらかくなって丸ごと食べられる。

写真:春の昼飯
上:ちしゃのはりはり、かますごの三倍酢/中:古漬の水出し/下:ごはん、わかめとねぎの味噌汁

 

出典: 藤本幸平 他編. 日本の食生活全集 29巻『聞き書 奈良の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.103-104

関連書籍詳細

日本の食生活全集29『聞き書 奈良の食事』

藤本幸平 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN: 9784540920035
発行日: 1992/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 376頁

青丹よしといわれた奈良の都、法隆寺を仰ぐ斑鳩の里から山深い吉野・十津川郷まで、その歴史・民俗・食べ物を古老からの聞き書きと写真で記録。東大寺の結解(けっけ)料理など、各地の寺社料理も紹介。
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