朝は冷やし汁、夜はしぎ焼きで――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2024年08月08日

聞き書 熊本食事 阿蘇の食より

晩――麦飯、にがうりとなすびのしぎ焼き、ふなのしそ煮、そうめん汁
この季節には、夏ばてを防ぐ意味で、川魚や油を使った食べものが多くなる。
水田の手入れもひとまずすめば、ひまひまに男は川魚とりに夢中になる。ふなのしそ煮が夜の食卓にあがるのもこのころである。焼酎のさかなにもってこいの食べものである。
また、夏の食卓で欠かせないものに、しぎ焼きがある。にがうりを薄く切ってあく抜きし、鉄なべに菜種油をひき、強火で苦みがとれるように炒めつける。なすびも一緒に入れて炒め、味噌で味をつける。なべいっぱいにしてもおかわりして食べてしまうほどおいしい。
そうめん汁もよく食べる。しいたけでだしをとった汁にゆでたそうめんを入れ、醤油で味をつけ、なすびやみょうがを浮かべた汁ものである。お盆の精霊さんにも夕飯のかわりによくつくってあげる。

写真:夏の晩飯
上:ふなのしそ煮、にがうりとなすびのしぎ焼き/下:麦飯、そうめん汁

 

出典:小林研三 他編. 日本の食生活全集 43巻『聞き書 熊本の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.27-29

関連書籍詳細

日本の食生活全集43『聞き書 熊本の食事』

小林研三 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN: 9784540870316
発行日: 1987/8
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 368頁

阿蘇は野焼きでよみがえり、萌え出る山菜や若草は人と牛の生命を育む。急流球磨川の水と豊かな米は生活の酒・焼酎を生んだ。天草の海にはさけんばかりの魚。豊かな肥後。
田舎の本屋で購入

このカテゴリーの記事 - 日本の食生活全集
おすすめの記事