聞き書 高知の食事 足摺海岸の食より
■めじかの新子に下りがつおと新いも
岬の夏は長い。二百十日がすぎ、二十日が無事すぎても、暑さは去らない。台風の不安がなくなるころになって、やっと秋の気配が風に運ばれてくる。
旧盆すぎから釣れはじめるろうそくめじかは、新子と呼ばれ、太めのろうそくほどの丸さである。まだ脂のつかない若いおを背割りにして、塩きや干ものにするが、ゆでて生節にして、そのまま味噌の中でほぐして食べたり、抜き菜のあえもののだしとしても使う。
写真:めじかとかつおの沖煮
出典:松崎淳子 他編. 日本の食生活全集 39巻『聞き書 高知の食事』. 農山漁村文化協会, 1986, p.269-273