聞き書 福島の食事 阿武隈山地の食より
初秋にちその穂の実が入るのを見て、ちその実を手でしごきながらざるに収穫し、水洗いしてから塩漬けする。とうがらしは、青とうがらしを摘み、塩漬にしておく。初冬のころ米こうじをつくり、塩漬にしておいたちその実、青とうがらしを一昼夜、井戸水の流水で塩抜きし、ちその実一升、青とうがらし一升に、こうじ一升、醤油一升をはかり、かめに漬けこむ。ときには、なす、みょうがを細かく切り、青とうがらしと一緒にして一升とすることもある。
ときどきとり出して食べるとおいしく、食がすすみ、常備しておくおかずである。
写真:一升漬をつくる
出典:柏村サタ子 他編. 日本の食生活全集 7巻『聞き書 福島の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.268-268