とり入れを祝い、ぼたもちを供えて感謝する秋あがり――晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2024年10月18日

聞き書 愛知食事 東三河(豊橋)の食より

秋あがり
十月も終わりに近いころ、秋あがりをする。秋あがりも春の農あがり同様、区内の稲刈りが終わったのを見届けて区長が日を決める。むらの人々は稲刈りが終わると刈りあげ、脱穀がすむとこきあげ、籾すりがすむとすりあげといって、五目飯を炊いたり、煮かけうどんをつくったりするが、秋あがりにはぼたもちをつくる。収穫に使った鎌、鍬、備中(備中鍬)、脱穀機など農機具類の土を落とし、むしろをたたきあげて納屋に収め、神仏とともにぼたもちを供え、秋を無事に終えたことに感謝する。

写真:秋あがりには農具にぼたもちを供える

 

出典:星永俊 他編. 日本の食生活全集 23巻『聞き書 愛知の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.249-250

関連書籍詳細

日本の食生活全集23『聞き書 愛知の食事』

星永俊 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN: 9784540890031
発行日: 1989/8
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

海、山、川、田畑の幸豊かな愛知、味噌のルーツ豆味噌を生かす味噌料理の数々。尾張藩時代からの伝統ある食べものと、江戸、上方の味覚がおりなす多彩な食。
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