みょうがぼち

連載日本の食生活全集

2020年06月17日

聞き書 岐阜の食事 美濃(御嵩)の食より

そらまめのあんを使ってつくるみょうがぼちは、夏の訪れを感じさせる食べものである。夏になると、そらまめにがめ虫がよくつくので、その前に豆を食べてしまうという意味もあって、たいていこの季節にはつくる。
はじめにあんをつくる。そらまめは前の晩から水につけ、よく水を吸って大きくなったところで煮る。煮あがってきたら、炭酸一つまみを入れる。こうすると、皮がやわらかくなってとりやすい。これをざるにあけ、水にさらしながら一粒一粒皮をとる。皮のとれたそらまめをきれいに洗い、ひたひたに水を入れてやわらかくなるまで煮る。砂糖と塩一つまみを入れて練りあげ、できあがったあんは楕円形に丸めておく。
次にぼちをつくる。うどん粉茶わん三杯と米粉茶わん二杯をよく混ぜ合わせ、熱湯を茶わんに四杯ほど入れて練る。これを手に一個分ずつとり、まん中を厚めに、まわりを薄くのばしてあんを包む。みょうがの葉は、使いやすいように、根元のところを指先か包丁の柄でやわらかくしておく。葉の表にぼちをのせ、元のほうから巻き、蒸し器に一列に並べて五分ほど蒸す。

 

出典:森基子 他. 日本の食生活全集 21巻『聞き書 岐阜の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.195-195

関連書籍詳細

日本の食生活全集21『聞き書 岐阜の食事』

森基子 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540900044
発行日:1990/05
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

飛騨は山の恵み、美濃は川の恵み豊かな国。米と繭の国だが、雑穀や山菜、木の実も大切な食糧。味噌・漬物・どぶろくなど発酵食品がよく発達している。山・川の恵みを受けた八つの地区の暮らしと食を収録。
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