聞き書 岐阜の食事 美濃(御嵩)の食より
そらまめのあんを使ってつくるみょうがぼちは、夏の訪れを感じさせる食べものである。夏になると、そらまめにがめ虫がよくつくので、その前に豆を食べてしまうという意味もあって、たいていこの季節にはつくる。
はじめにあんをつくる。そらまめは前の晩から水につけ、よく水を吸って大きくなったところで煮る。煮あがってきたら、炭酸一つまみを入れる。こうすると、皮がやわらかくなってとりやすい。これをざるにあけ、水にさらしながら一粒一粒皮をとる。皮のとれたそらまめをきれいに洗い、ひたひたに水を入れてやわらかくなるまで煮る。砂糖と塩一つまみを入れて練りあげ、できあがったあんは楕円形に丸めておく。
次にぼちをつくる。うどん粉茶わん三杯と米粉茶わん二杯をよく混ぜ合わせ、熱湯を茶わんに四杯ほど入れて練る。これを手に一個分ずつとり、まん中を厚めに、まわりを薄くのばしてあんを包む。みょうがの葉は、使いやすいように、根元のところを指先か包丁の柄でやわらかくしておく。葉の表にぼちをのせ、元のほうから巻き、蒸し器に一列に並べて五分ほど蒸す。
出典:森基子 他. 日本の食生活全集 21巻『聞き書 岐阜の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.195-195