冷や汁

連載日本の食生活全集

2020年07月06日

聞き書 長崎の食事 五島の食より

麦飯そのものは、四月ころの新麦のとれたときが、ねばりがあって一番おいしい。しかし、夏場の冷や汁の麦飯も、それに負けずにうまいものである。きゅうりのとれる夏の夕食によくつくる。冷や汁にする麦飯は朝のうちに炊いておく。
このころは、夏疲れで食欲のないことが多いのだが、冷や汁にすると食欲がわいて、思わず何杯もおかわりしてしまう。
青じその葉をすり鉢ですり、次に味噌もする。きゅうりは薄い輪切りにして、味噌を少し入れ、手でもんでしんなりさせると、きゅうりの下地(汁)が出ておいしくなる。青じそ、味噌、きゅうりを混ぜ合わせ、冷たい井戸水を少し入れる。水は多く入れないで、濃いめの味つけにしておく。その汁を杓子ですくって麦飯にのせて食べる。それではあまり塩からいというときは、水を足して薄めて食べることもある。青じそがなくなったら、しその実を使う。

 

出典:月川雅夫 . 日本の食生活全集 42巻『聞き書 長崎の食事』. 農山漁村文化協会, 1985, p.234-234

関連書籍詳細

日本の食生活全集42『聞き書 長崎の食事』

月川雅夫 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540850011
発行日:1985/04
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 378頁

海岸線が全国で一番長い県・長崎。離島が群れなす長崎。中国と南蛮の影響。さつまいもの料理が一番発達している長崎。さまざまな長崎のさまざまな料理の全貌を紹介する。
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