聞き書 佐賀の食事 有明海沿岸の食より
むつごろうは小さい魚なので、切らずに姿のままかば焼きにする。生きたまま口から尾に向けて串をさし、炭火で両面を焼く。なべに醤油と砂糖、水少量を入れて火にかけ、このたれに、むつごろうを二、三回浸して焼く。
むつごろうは一見気持の悪い魚であるが、かば焼きにすると非常においしい。うなぎのような脂っこさはないが、夏ばて防止になり、家族が喜ぶ。
味噌汁にするときは、洗ってそのまま三つくらいのぶつ切りにし、水から煮て、最後に味噌を溶き入れる。
写真:むつごろうのかば焼き
出典: 原田角郎 他. 日本の食生活全集 41巻『聞き書 佐賀の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.86-86