むっきり

連載日本の食生活全集

2020年07月07日

聞き書 熊本の食事 県南の食より

小麦の粉に水を少しずつ加えながら混ぜ、さらに力を入れてこねて、のべ板の上でのべ棒を使って薄くのばす。表面に小麦の粉を少々ふるって手で広げ、いくつかに折りたたんで、三分くらいの幅に切る。熱湯に入れてゆがいてから、水につけて冷やし、しょうけ(竹ざる)に上げて水気を切っておく。
だし汁は、しいたけやいりこでとり、一晩水につけておいた大豆をなべに入れ、やわらかく煮て、醤油で濃いめの味をつける。そのままふたをし、ふきんをかぶせてよくしばり、川の水につけて上に石をのせて流れないようにし、冷たく冷やしておく。
これを冷やし麦のめんにかけて、夏場の昼食として食べる。しこしことした麦めんに、冷たい大豆のだし汁が大変おいしく、暑い時期でも食欲がすすむ。

 

出典:小林研三 他. 日本の食生活全集 43巻『聞き書 熊本の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.255-255

関連書籍詳細

日本の食生活全集43『聞き書 熊本の食事』

小林研三 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540870316
発行日:1987/08
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 368頁

阿蘇は野焼きでよみがえり、萌え出る山菜や若草は人と牛の生命を育む。急流球磨川の水と豊かな米は生活の酒・焼酎を生んだ。天草の海にはさけんばかりの魚。豊かな肥後。
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