だし

連載日本の食生活全集

2020年07月10日

聞き書 山形の食事 県南置賜の食より

夏の野菜の出盛りに、新鮮な生食が簡単にできてしかも滋養があり、また味も満点の即席料理がだしである。酒のさかなにも好まれる。
蚕の忙しいときなど、おかずづくりをするひまがない、しかしもう一品おかずがほしいというような昼食どき、畑からきゅうり、なす、みょうが、しその葉を摘んできてきれいに洗い、きゅうり、なすは細かいさいの目に、みょうが、しその葉も細かくきざんで混ぜ合わせ、醤油をかけて食べる。そのほか、ゆでてある枝豆をはじいて加えると、なおいろどりがよくおいしい。
夏は、生きゅうりを薄い小口切りにし、少々の塩でもみ、砂糖や食酢で味をつけて食べる「きゅうりびき」もよくつくる。清涼を呼ぶおかずである。だしと同様、あくまで新鮮な野菜であることが条件である。

 

出典:木村正太郎 他. 日本の食生活全集 6巻『聞き書 山形の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.182-182

関連書籍詳細

日本の食生活全集6『聞き書 山形の食事』

木村正太郎 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540880445
発行日:1988/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

山形の「母なる川」最上川が結ぶ置賜盆地、村山の平野と山間、県北の最上、庄内平野。暮らしの柱にある米と結びついた山と海の幸のすべてを紹介。加えて、羽黒山修験道の食、酒田海船問屋の食を再現。
田舎の本屋で購入

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