南関煮しめ

連載日本の食生活全集

2020年10月13日

聞き書 熊本の食事 県北の食より

南関地方には、この地区独特の煮しめがある。
南関煮しめには、里芋、ごぼう、こんにゃく、南関揚げ、こぶ巻き、にんじん、しいたけなどを盛りつける。南関揚げは、南関地方にだけ伝わっている揚げである。
里芋は皮をむき、ごぼうは、洗って皮をこさいでおく。こんにゃくは、塩を少し入れてゆがく。
いりこでとっただし汁に塩を少し入れ、それに里芋、ごぼう、こんにゃく、しいたけ、南関揚げを入れて煮る。にんじんは少しあとに入れる。煮ながら醤油、酒、砂糖で調味する。
一方、こぶ巻きは、まず豆腐の水気を切ってすり鉢に入れ、その中にかたくり粉、砂糖、酒、塩を入れてすり混ぜておく。幅の広いだしこんぶをぬれぶきんでふいてから、よくすりつぶした豆腐を、六寸くらいに切って広げたこんぶの上にのせ、さらに豆腐の上に、下のこんぶより少し小さいこんぶをのせ、また豆腐をのせて巻く。これをふきんにくるみ、蒸し器で蒸す。約二〇分で蒸しあがる。
これらを平鉢に色とりどりに盛りつけ、お客さんに出す。

 

出典:小林研三 他. 日本の食生活全集 43巻『聞き書 熊本の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.167-167

関連書籍詳細

日本の食生活全集43『聞き書 熊本の食事』

小林研三 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540870316
発行日:1987/08
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 368頁

阿蘇は野焼きでよみがえり、萌え出る山菜や若草は人と牛の生命を育む。急流球磨川の水と豊かな米は生活の酒・焼酎を生んだ。天草の海にはさけんばかりの魚。豊かな肥後。
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