聞き書 大分の食事 宇佐平野の食より
溝の中にいるどじょうは、つかまえてバケツの井戸の水の中にしばらく入れてのろを吐かせ、くさみを抜く。
これを、しょうけ(ざる)に上げて水気を切っておく。なべに油をひき、生きたままどじょうを入れてふたをする。どじょうがのびたらふたをあけ、食べやすいように、しゃもじでどじょうの形をくずす。その中に水をたっぷり入れ、季節の野菜、麩、揚げなどを入れ、醤油で味をつける。夏は味噌味にする。野菜は、夏ならしろいも、なすび、かぼちゃを入れる。里芋がとれだすと、里芋を入れてもよい。
また赤尾では、手打ちうどんをゆでて入れることがあるが、宇佐地方一般では、生きたどじょうと一緒に豆腐を入れる。こうすると豆腐の中にどじょうが入って煮あがる。
出典:波多野道義 他. 日本の食生活全集 44巻『聞き書 大分の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.268-269