聞き書 埼玉の食事 川越商家の食より
■土用の丑の日
七月も下旬になると暑さもいよいよきびしさを増す。夏まけしないよう、土用の丑の日に家族、奉公人ともども、うなどんをとりよせて食べる。川越のうなぎ料理は江戸の昔から名高く、松江町の小川藤、小仙波の東屋はちょっとから口でごはんが多く、猪鼻町の小川菊や久保町の市野屋は甘口などと、それぞれ味に特徴があるので、そのときの家族の好みでとりよせる。いずれもどんぶりは安くて、ことのほか味がよい。
写真:うなどん
出典:深井隆一 他編. 日本の食生活全集 11巻『聞き書 埼玉の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.271-276