どじょうの味噌汁

連載日本の食生活全集

2024年07月26日

聞き書 東京食事 下町の食より


夏になると、川魚屋でどじょうを量り売りしてもらい、味噌汁の実にしたり、柳川なべなどにして食べる。どじょうの味噌汁は、朝の味噌汁としてではなく、夕食のおかずとしてつくることが多い。
火にかけた空なべに酒と生きているどじょうを入れ、逃げ出さないようにすばやくふたをする。火にかけると、どじょうはすぐ死んでしまう。そこに水を入れ、ことこと煮て、さらに味噌を加える。どじょうだけで煮るよりも、ごぼうのささがきを入れたほうが、どじょうの泥くささもとれ、よりおいしくなる。どじょうからうまみが出るので、だしは使わない。

写真:どじょうの味噌汁
ごぼうを入れるといっそうおいしい。

 

出典:渡辺善次郎 他編. 日本の食生活全集 13巻『聞き書 東京の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.84-85

関連書籍詳細

日本の食生活全集13『聞き書 東京の食事』

渡辺善次郎 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN: 9784540870989
発行日: 1988/2
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

昭和初期、巨大都市・東京人は何を食べ、どう暮らしていたか。下町と山の手、都市部と農村部に目配りしつつ、深川・本所・日本橋から世田谷・葛飾・大森・奥多摩・伊豆大島などでの四季折々の食事の世界を再現する。
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