聞き書 東京の食事 下町の食より
夏になると、川魚屋でどじょうを量り売りしてもらい、味噌汁の実にしたり、柳川なべなどにして食べる。どじょうの味噌汁は、朝の味噌汁としてではなく、夕食のおかずとしてつくることが多い。
火にかけた空なべに酒と生きているどじょうを入れ、逃げ出さないようにすばやくふたをする。火にかけると、どじょうはすぐ死んでしまう。そこに水を入れ、ことこと煮て、さらに味噌を加える。どじょうだけで煮るよりも、ごぼうのささがきを入れたほうが、どじょうの泥くささもとれ、よりおいしくなる。どじょうからうまみが出るので、だしは使わない。
写真:どじょうの味噌汁
ごぼうを入れるといっそうおいしい。
出典:渡辺善次郎 他編. 日本の食生活全集 13巻『聞き書 東京の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.84-85