聞き書 兵庫の食事 瀬戸内沿岸(明石)の食より
たこ漁以外にも網を引くが、夏にはべらやめばる、えびなど小物が底引き網に入る。珍しい初もんを口にできるのは漁師の特権であり、その日の晩のおかずとなる。
■晩飯――麦飯、べらの二杯酢、きゅうりのどぶ漬、たこの醤油煮、麩の澄まし汁
浜からの揚がりもののべらは、煮つけ、焼き魚としてよく食べる。焼いたべらを酢と醤油を合わせた二杯酢に漬けこんでおき、夏でももつように工夫をして何回も飯台に出す。
家で食べるたこは、ぶつ切りにして醤油でからく煮つけておき、これもいつでも食べられるようにしておく。夏はどぶ漬(ぬか味噌漬)もよく漬ける。
写真:夏の晩飯
上:べらの二杯酢、きゅうりのどぶ漬、たこの醤油煮/下:麦飯、麸とねぎの澄まし汁
出典:和田邦平 他編. 日本の食生活全集 28巻『聞き書 兵庫の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.75-76