初もんのべらが食べられるのは漁師冥利――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2024年07月29日

聞き書 兵庫食事 瀬戸内沿岸(明石)の食より

たこ漁以外にも網を引くが、夏にはべらやめばる、えびなど小物が底引き網に入る。珍しい初もんを口にできるのは漁師の特権であり、その日の晩のおかずとなる。
晩飯――麦飯、べらの二杯酢、きゅうりのどぶ漬、たこの醤油煮、麩の澄まし汁
浜からの揚がりもののべらは、煮つけ、焼き魚としてよく食べる。焼いたべらを酢と醤油を合わせた二杯酢に漬けこんでおき、夏でももつように工夫をして何回も飯台に出す。
家で食べるたこは、ぶつ切りにして醤油でからく煮つけておき、これもいつでも食べられるようにしておく。夏はどぶ漬(ぬか味噌漬)もよく漬ける。

写真:夏の晩飯
上:べらの二杯酢、きゅうりのどぶ漬、たこの醤油煮/下:麦飯、麸とねぎの澄まし汁

 

出典:和田邦平 他編. 日本の食生活全集 28巻『聞き書 兵庫の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.75-76

関連書籍詳細

日本の食生活全集28『聞き書 兵庫の食事』

和田邦平 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN: 9784540910067
発行日: 1992/3
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

摂津、丹波、但馬、播磨、……瀬戸内から日本海にまでいたる多彩な風土と独自の食文化、さらに国際都市神戸のハイカラ料理、淀川長治氏が語る神戸モダンボーイの食事も紹介。
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