聞き書 鳥取の食事 城下町鳥取の食より
■端午の節句
男の子ばかりの山口家では、しょうぶとよもぎを軒にさし、こいのぼりを立て、床には鎧、冑、武者人形を飾って盛大に祝う。まきと赤飯を供える。赤飯はたくさん蒸して、親せきや隣り近所にも配る。風呂も、しょうぶ湯をわかす。
節句の料理には、口取りとして、あご(とびうお)の塩焼き、あごちくわ、卵焼き、焼き豆腐の含め煮、ふきの煮ものなどの、海、山、里のものを品数を奇数にして盛り合わせる。それに糸かれぎ(かれぎ(刈りねぎ)の細いもの)の小口切りをまぶしたあごの刺身、ちしゃとあごの酢味噌、うずら豆の煮豆、あごだんごとかれぎの味噌汁、まきが並ぶ。
写真:端午の節句の「あご」の刺身
糸かれぎをまぶし、しょうが醤油で。
出典:福士俊一 他. 日本の食生活全集 31巻『聞き書 鳥取の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.72-73