あごの料理で節句を祝う―晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2021年04月26日

聞き書 鳥取の食事 城下町鳥取の食より

端午の節句
男の子ばかりの山口家では、しょうぶとよもぎを軒にさし、こいのぼりを立て、床には鎧、冑、武者人形を飾って盛大に祝う。まきと赤飯を供える。赤飯はたくさん蒸して、親せきや隣り近所にも配る。風呂も、しょうぶ湯をわかす。
節句の料理には、口取りとして、あご(とびうお)の塩焼き、あごちくわ、卵焼き、焼き豆腐の含め煮、ふきの煮ものなどの、海、山、里のものを品数を奇数にして盛り合わせる。それに糸かれぎ(かれぎ(刈りねぎ)の細いもの)の小口切りをまぶしたあごの刺身、ちしゃとあごの酢味噌、うずら豆の煮豆、あごだんごとかれぎの味噌汁、まきが並ぶ。

写真:端午の節句の「あご」の刺身
糸かれぎをまぶし、しょうが醤油で。

 

出典:福士俊一 他. 日本の食生活全集 31巻『聞き書 鳥取の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.72-73

関連書籍詳細

日本の食生活全集31『聞き書 鳥取の食事』

福士俊一 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540910036
発行日:1991/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 382頁

日本海側有数の漁港=賀路・境港のある鳥取県は、魚、えび、かに、貝と海の幸が多彩。磯場の夏泊海岸の海女漁は豊臣時代からの歴史をほこる。因幡の山間、伯耆富士=大山の山麓には山の幸たっぷりの食生活が。
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