おこじゅうにも大きなにぎり飯――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2024年03月29日

聞き書 東京食事 多摩川上流の食より

この時期は「仕事が飯を食う」といわれ、麦刈りや田んぼ仕事の忙しいときは、おこじゅうにも梅干し入りの大きなにぎり飯を食べる。また、腹いっぱい食べなければ、とても仕事はこなせるものではない。
野菜は、四月も末くらいにならないと、青いものはあまりない。冬にひきつづき、大根、にんじん、ごぼう、白菜がよく使われる。
晩飯――煮こみうどん、ごぼうのきんぴら
大根、にんじん、里芋を切って大釜に入れて煮たたせ、のしたうどんを入れて煮こんで食べる。煮こみにしないで、ゆでたうどんをつゆにつけて食べることも多い。また、うどんは、麦飯のかて(お菜)にして食べることもある。
蚕の見回りで、夜もおそくなる。ただし、とくに夜食はつくらない。座敷は蚕室になるため、家族は台所のすみにごろ寝する毎日である。

写真:春の晩飯
上:大根の味噌漬ときゃらぶき、うどんのつゆ、きんぴらごぼう/下:麦飯、うどん

 

出典: 渡辺善次郎 他編. 日本の食生活全集 13巻『聞き書 東京の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.234~234

関連書籍詳細

日本の食生活全集13『聞き書 東京の食事』

渡辺善次郎 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN: 9784540870989
発行日: 1988/2
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

昭和初期、巨大都市・東京人は何を食べ、どう暮らしていたか。下町と山の手、都市部と農村部に目配りしつつ、深川・本所・日本橋から世田谷・葛飾・大森・奥多摩・伊豆大島などでの四季折々の食事の世界を再現する。
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