聞き書 長野の食事 奥信濃の食より
お盆までには、じゃがいもを収穫し終えて、そのあとに、そばの種播きをすませなければならないから、盆前は、夜明けころから日暮れて足もとが見えなくなるまで働く。
■夕――焼きうるもろこし、粉かき、やたら、塩漬
夕方、畑からうるもろこし(とうもろこしの仲間)をとってきて、すぐよろりで焼く。うるもろこしは、冷えてしまうと固くなってまずいので、焼けるそばから食べる。これに米の粉の粉かきを何杯も食べる。米の粉の粉かきは、鉄びんの湯がわいていればできるので、日暮れまで働いて帰るおっかさにとっては都合がよい。
写真:夏の夕食
上:味噌、なすの塩漬/下:米の粉かき、うるもろこし
出典:向山雅重 他編. 日本の食生活全集 20巻『聞き書 長野の食事』. 農山漁村文化協会, 1986, p.302-303