畑でつくるもろこしが飯の足し前――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2024年07月16日

聞き書 長野食事 奥信濃の食より

お盆までには、じゃがいもを収穫し終えて、そのあとに、そばの種播きをすませなければならないから、盆前は、夜明けころから日暮れて足もとが見えなくなるまで働く。
夕――焼きうるもろこし、粉かき、やたら、塩漬
夕方、畑からうるもろこし(とうもろこしの仲間)をとってきて、すぐよろりで焼く。うるもろこしは、冷えてしまうと固くなってまずいので、焼けるそばから食べる。これに米の粉の粉かきを何杯も食べる。米の粉の粉かきは、鉄びんの湯がわいていればできるので、日暮れまで働いて帰るおっかさにとっては都合がよい。

写真:夏の夕食
上:味噌、なすの塩漬/下:米の粉かき、うるもろこし

 

出典:向山雅重 他編. 日本の食生活全集 20巻『聞き書 長野の食事』. 農山漁村文化協会, 1986, p.302-303

関連書籍詳細

日本の食生活全集20『聞き書 長野の食事』

向山雅重 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN: 9784540860768
発行日: 1986/12
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

十州に境を連ねる信州の山と川、四つの平の恵みを生かしきる女の技を収録。木曽のすんき漬、東信の野沢菜漬、中信の稲扱菜など、特徴ある野菜がいっぱい。海こそなけれよろず足らわぬことなき暮らしと食を聞書きする。
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