聞き書 宮城の食事 三陸南海岸の食より
まんぼうだけの漁はしない。たまたま定置網に乗ったものや、海面で昼寝をしていたものを捕らえて利用する。
浜辺で解体し、粗皮をはぐと三寸くらいの厚さの部分が肉からはがれる。このこんにゃく状の透明な部分だけを持ち帰り、肉や内臓、粗皮はすてる。厚さ一寸、長さ五寸くらいに大切りにして熱湯を通し、刺身にする。酢醤油をかけて食べるが、くせがなく、夏の酒のさかなとして最適である。
体長六尺、一五貫くらいの大物がとれると、浜の全戸に配って食べる。
出典:竹内利美 他編. 日本の食生活全集 4巻『聞き書 宮城の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.146-147