聞き書 香川の食事 東さぬきの食より
大豆三升はよく炒ってひき割り、箕であおって表皮をのけておく。次に精白した裸麦三升をよく水洗いして、ぬるま湯に二、三時間浸しておく。
塩漬のなす、きゅうり、しょうがなどの野菜は適当な大きさに切り、数時間水に浸して塩抜きをし、水気をしぼっておく。
ぬるま湯に浸しておいた裸麦をざるに入れ、その中へ大豆を混ぜ、大豆に吸水させるため五、六時間そのまま放置する。これを一、二時間蒸して、種こうじを加えてこうじをつくる。こうじができたら、四、五升の水に塩を一升五合溶かし、十分にわかして殺菌し、冷ましておく。仕込み桶も前もって熱湯で殺菌しておく。
仕込み桶に、こうじをよくほぐしながら入れ、塩水を加えてよくかき混ぜる。この中に塩抜きした野菜を混ぜ入れ、全体を強く押して表面を平らにする。その上に押しぶたをし、重石をのせる。一〇日くらいおいたらみじん切りにしたしその葉やしょうがなどを混ぜこんで、再び重石をのせる。夏の終わり、盆すぎころにつくると四、五か月くらいで熟成し、食べられる。
出典:井上タツ 他編. 日本の食生活全集 37巻『聞き書 香川の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.46-47