聞き書 愛知の食事 東三河(豊橋)の食より
■秋あがり
十月も終わりに近いころ、秋あがりをする。秋あがりも春の農あがり同様、区内の稲刈りが終わったのを見届けて区長が日を決める。むらの人々は稲刈りが終わると刈りあげ、脱穀がすむとこきあげ、籾すりがすむとすりあげといって、五目飯を炊いたり、煮かけうどんをつくったりするが、秋あがりにはぼたもちをつくる。収穫に使った鎌、鍬、備中(備中鍬)、脱穀機など農機具類の土を落とし、むしろをたたきあげて納屋に収め、神仏とともにぼたもちを供え、秋を無事に終えたことに感謝する。
写真:秋あがりには農具にぼたもちを供える
出典:星永俊 他編. 日本の食生活全集 23巻『聞き書 愛知の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.249-250