まんぼうの刺身

連載日本の食生活全集

2020年06月04日

聞き書 宮城の食事 三陸南海岸の食より

まんぼうだけの漁はしない。たまたま定置網に乗ったものや、海面で昼寝をしていたものを捕らえて利用する。
浜辺で解体し、粗皮をはぐと三寸くらいの厚さの部分が肉からはがれる。このこんにゃく状の透明な部分だけを持ち帰り、肉や内臓、粗皮はすてる。厚さ一寸、長さ五寸くらいに大切りにして熱湯を通し、刺身にする。酢醤油をかけて食べるが、くせがなく、夏の酒のさかなとして最適である。
体長六尺、一五貫くらいの大物がとれると、浜の全戸に配って食べる。

 

出典:竹内利美 他. 日本の食生活全集 4巻『聞き書 宮城の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.146-147

関連書籍詳細

日本の食生活全集4『聞き書 宮城の食事』

竹内利美 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540890062
発行日:1990/02
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

米どころ宮城は旧伊達藩以来の米どころで、もちの多彩な食べ方を誇る。三陸海岸では四季いろいろな魚貝がとれ、浜の人たちだけでなく、内陸の人々の食膳もにぎわす。
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